2018年11月17日土曜日

I2C通信でLCD表示器に文字表示ができましたが...

LCD表示器に文字表示ができましたが、標準の書き方ではなく...


使用したのはスイッチサイエンスで購入した8文字2行表示のAQM0802A(5V版)です。
5V版なので、10月27日に公開したRTCの回路にそのまま追加しました。

接続図


コマンド・データの書き込み手順


コントロールICはST7032iで、そのマニュアルによると、コマンドやデータはいずれもコントロールバイトとデータバイトの2バイトのセットで書き込むようになっています。

コマンドの場合 複数連続して書き込む場合 :$80+1byte(コマンドコード)
        単独又は最後に書き込む場合:$00+1byte(コマンドコード)
データの場合 複数連続して書き込む場合 :$C0+1byte(データコード)
       単独又は最後に書き込む場合:$40+1byte(データコード)

$00+1byteや$40+1byteの後には必ずI2Cのストップコンディションが続いて終了することになっています。


連続書き込みでは$80や$C0を毎回書くのですが...


実際にプログラムを作って試してみると、
S+ADR+($80+CmdCode)+($80+CmdCode)+...+($00+CmdCode)+P

S+ADR+($C0+Data)+($C0+Data)+($C0+Data)+...+($40+Data)+P
 (S:スタートコンディション、ADR:スレーブアドレス、P:ストップコンディション)
という書式で確かに書き込みができました。

しかし、ネット検索をしてみますと、$80や$C0を用いて連続書き込みをするのではなく、$00や$40を用いて1byteずつ書き込む例も結構見られます。例えばArduinoのC言語であれば、Wireライブラリを用いて、

コマンド書き込みの場合は
Wire.beginTransmission()とWire.endTransmission()で挟んで
Wire.write()で$00と1byteのコマンドを書く。

データ書き込みの場合は
Wire.beginTransmission()とWire.endTransmission()で挟んで
Wire.write()で$40と1byteのデータを書く。

というような形式です。(この例のbeginTransmission()とendTransmission()はそれぞれS+ADRとPだと思われます。)


もう少し効率的に連続書き込みをする方法がありました


確かに、1文字の書き込みなら$00や$40を用いるのがマニュアル通りの書き方なので良いのですが、複数バイトのコマンドやデータを書き込みたい場合には、スタートコンディション、スレーブアドレス、ストップコンディションを1byte毎に書くことになり、いかにも非効率です。
かといって、連続書き込み用の$80や$C0を1byte毎に書くのもあまり効率が良いとは言えません。スタートコンディション、スレーブアドレス、ストップコンディションは1回で済むという利点はありますが。(これしか方法がないのなら仕方がないのですが)

他の書き込み方はないのかと色々と試行錯誤した結果、下記のような書式で書き込めることを確認しました。

コマンド書き込みの場合
S+ADR+$00+(複数のコマンドコードを順に)+P

データ書き込みの場合
S+ADR+$40+(複数のデータを順に)+P


この書き方は、明らかにマニュアルで説明されている書式とは異なっているのですが、画像のようにちゃんと書き込めています。

AQM0802A表示例


最後に

なぜST7032iのマニュアルに載っていない書式で連続書き込みができるのかは分かりませんし、マニュアルを熟読すればどこかに記載されているのかもしれませんが、あくまでもAQM0802Aの一使用例として見ていただければと思います。
何か勘違いや間違い等ありましたらご指摘いただけるとありがたいです。

6809のアセンブラでLCDWR.TXT,LCDWR1.TXT,LCDWR2.TXTの3つのプログラムを作成し、いずれも正常に書き込みできることを確認しました。

LCDWR.TXTの書式(最も短い)
  command : S+ADR+$00+cmd1+cmd2+...+lastcmd+P
  data         : S+ADR+$40+dat1+dat2+...+lastdat+P
LCDWR1.TXTの書式(初期化コマンドのみ短い)
  command : S+ADR+$00+cmd1+cmd2+...+lastcmd+P
  data         : S+ADR+($C0+dat1)+($C0+dat2)+...+($40+lastdat)+P
LCDWR2.TXTの書式(標準の書式)
  command : S+ADR+($80+cmd1)+($80+cmd2)+...+($00+lastcmd)+P
  data         : S+ADR+($C0+dat1)+($C0+dat2)+...+($40+lastdat)+P

参考になるかどうかわかりませんが、作成した3つのプログラムのソースをMicrosoftのOneDriveに上げておきます。


2018年11月3日土曜日

PIAのみでRTCからの時刻の読み書きができました

PIAに接続したRTCから時刻を読み書きするアセンブラのプログラムが完成


前回(10月27日)はRTCモジュールから時刻を読み込むまででしたが、時刻の書き込みもできるようになりました。
読み込み・書き込みプログラムはそれぞれRTC_RD.CMD、RTC_WR.CMDですが、読み込みプログラムに、FLEX9の起動時に時刻をRTCモジュールから読み込んでFLEX9の日付を設定する機能を追加したSETDATE.CMDを用意しました。

RTC_RD.CMDとRTC_WR.CMDはFLEX9上のコマンドとして使用します。


FLEX9システムに組み込んで使用する


SETDATE.CMDはFLEX9の起動時に自動的に実行されるように、STARTUP.TXTに書き込んでおいて使用しますが、FLEX9の起動時にデフォルトで実行される日付入力ルーチンが不要になりますので、FLEX9のシステムを一箇所変更します。

FLEX9システムをTrk01,Sct01から保存した場合、初期化ルーチンはSct08にあります。
そのうちの日付入力ルーチンはオフセット$76からのBD,CA,AC (JSR $CAAC) ですので、このBDを39 (RTS)に変更します。

初期化ルーチン(変更前)
初期化ルーチン(変更後)

これによって、起動時に日付を問い合わせてくることは無くなり、代わりに、STARTUP.TXTに書き込んだSETDATE.CMDがRTCモジュールから取得した日付を設定してくれることになります。

その様子を下図に示します。


起動画面(従来のもの)

今までは、起動時に日付を「月、日、年」の順に入力する必要がありました。
(FLEX9では時刻は管理していませんので、年月日のみです。)
それに対して、SETDATE.CMDを組み込むと、

起動画面(RTCモジュールから読み込み)

日付を問い合わせてくることなく、RTCモジュールから取得した日付と時刻を表示してそのままコマンド入力待ちになります。DATEコマンドを入力してみると、確かに日付が設定されていることが分かります。
なお、RTCモジュールが無い場合には、デフォルトの日付入力ルーチンが呼び出されて手動で日付を入力することになります。

起動画面(RTCモジュールが無い場合)

作成したRTC_RD.CMD, RTC_WR.CMD, SETDATE.CMDのソースをOneDriveに上げておきます。
入出力ルーチンなど一部にFLEX9のシステムルーチンを使用していますが、I2C通信部分は一般的な6809のアセンブラですので、I2C機能を持たないマイコンで、しかもアセンブラでI2C通信をしたいという場合の参考になれば嬉しいです。
(I2Cの解説も、DS3231のマニュアルも、もう少し分かりやすく書いてもらえればこんなに苦労しなくても済んだかもしれないのに...愚痴でした。)