2020年7月19日日曜日

2DDドライブ用ステップ2倍化回路のその後

Ready信号生成のためのPICを不要とすることができました

[2020年8月2日画像追加あり]
[2020年8月6日訂正あり]

6月8日の「2DDドライブ用ステップ2倍化回路のプリント基板化」で、FDCカードからFDDへのケーブルの間に挿入する形のステップ2倍化回路基板を紹介しましたが、それは、ステップ2倍化のためのATtiny85とReady信号生成のためのPIC12F675の両方を必要とするものでしたが、3つのICを必要とするのはいかにも大袈裟です。

このPIC12F675を使用せずにReady信号を生成する方法として次の2つを考えました。
(1)FDDを改造して34ピンにReady信号を取り出す。
(2)ATtiny85にReady信号生成のプログラムを追加する。

PIC12F675によるReady信号生成回路はK-ichi's memoさんによるMSXでPC用FDDを使うで紹介されているものをそのまま使用させていただいていましたが、プログラム作成では結構苦労されているようでしたので、まずは(1)による方法を試してみました。


(1)による方法


参考にしたのは、試運転さんによるPC-9821にPC/AT互換機用FDDを接続する(実施編)です。様々なFDDの改造手順が紹介されていますので、手持ちのFDDのうち該当するもの3台について改造してみました。


2種のTEAC FD-235HG


左がFD-235HG A122 (TB6048F)で右がFD-235HG 7304 (TB6022AF)です。
使用している制御ICの種類によってReady信号のピンが異なりますが、34ピンに接続されているDISK CHANGE信号をカットし、ICの該当ピンから34ピンにReady信号線を接続するだけです。


MITSUMI D353T5

D353T5の場合はDCH端子にハンダ付けされているチップ抵抗を、その下のRDY端子に付け替えるだけですので、元に戻すこともできます。(下図の左下の部分)



D353T5の改造部分



2DDドライブ用ステップ2倍化回路の修正は、FDC側のコネクタとFDD側のコネクタの34ピンを直結するだけです。
(下画像では修正線が何本もありますが、あれこれと改造した残骸でして必要なのは最下部の1本のみです。)

2倍化基板の修正(最下部の1本のみ追加)


改造した結果ですが、PIC12F675を外し、ATtiny85のプログラムは変更せずに動作しました。

しかし、FDDを改造するのはいかにも敷居が高いので、次に(2)のATtiny85のプログラムで対応することを試してみました。


(2)による方法


K-ichi's memoさんのブログによれば、MotorOnがアクティブの間、0.5ms毎に2000回(約1s間)Indexをチェックし、その間1度もIndexが出ていなかったらReadyではないと判断するとのことですので、そのアルゴリズムをそのまま使わせていただいてATtiny85のメイン部に追加しました。(K-ichi's memoさんに感謝いたします。)

プログラムリストを下に示します。


[2020年8月6日訂正]上記プログラム中の2000を5000に訂正します。(理由を最後尾に記述しました。)

2DDドライブ用ステップ2倍化回路の修正ですが、ATtiny85のピン配置をPB0:MotorON, PB1:Index, PB3:Readyとしましたので、ATtiny85 pin5,6,2をそれぞれPIC12F675のソケット端子のpin6,5,7に接続します。

[2020年8月2日追加」必要な追加配線を示す画像を追加しました。




改造した結果ですが、PIC12F675なしで無事に動作しましたので、FDDの改造が不要なこちらの方法の方が良いようです。

[2020年8月6日追加」上記のプログラムリストは2000回(約1秒間)チェックするというものですが、実は、このプログラムではOS-9Level1やLevel2のFDは正常に起動しません。起動時のメッセージを見ていると、どうも起動中の処理に時間がかかりすぎているようですので、2000回を5000回に変えてみたところ、OS-9も正常に起動するようになりました。
ということで、上記プログラムの2000を5000に訂正します。


2020年7月18日土曜日

ArduinoMega2560カードの紹介その後のその後

4月10日に紹介した「ArduinoMega2560カードの紹介その後(完結編)」で完結したつもりでしたが、その後行ったいくつかの試みを紹介します。
(1)部品配置を多少変更した新しい基板を製作しました。
(2)リフレッシュの方法を変更してみました。
(3)任意のファイルを指定してArduino2560からFM-7に送り込めるようにしました。

(1)ですが、USBケーブルを挿入しやすくするためにArduino2560カードの位置を少し左に移動し、カード上のリセットボタンが押しにくかったので基板上にリセットボタンを新設しました。
(2)ですが、リフレッシュ法を桜井さまが試された方法に変更してみました。
オリジナルのカードの考案者であるFS-Micro Corporationの桜井さまはDRAMのリフレッシュについて2つの方法を試みられました。
一つ目はMega2560の割り込みを用いる方法で、これはリフレッシュの仕様を完全には満たすことができない上にCPUがほとんどリフレッシュにかかりきりになってしまうので実用的ではないとのことです。二つ目はPICを増設しそれによってハード的にリフレッシュ信号を作るというもので、これは完全にリフレッシュの仕様を満たすことができ、CPUにも余裕があるので良い方法だそうです。

参考までに、桜井さまから頂いたPICを使用した基板を示します。


PIC使用の基板



しかし、FM-7上でArduino2560を動作させてメモリデータを読み出したり、データやプログラムを送り込んだりさせたいと考えていた思い付きハードでソフトに七転八倒のshujiakitaさんや私にとっては、殆どのCPU時間をリフレッシュに取られるにしても、残りのわずかな時間にデータ等の読み書きができて、その後6809に戻れれば良いので、ソフトのみでリフレッシュを行う手法もそれなりに有用だと考えました。

(3)ですが、任意のファイルをArduino2560が読み込んでFM-7のメモリに書き込めるようにスケッチを変更しました。

ということで、PICの追加なしでソフトのみでD-RAMのリフレッシュを行なうArduino2560カードを、WindowsとFM-7の間でプログラムやデータのやり取りを行うツールとして製作しました。


新基板
新基板


使い方ですが、Arduino2560へのスケッチの書き込みに使用したポートをそのまま使用しますので、TeraTermのポートをそのポートに指定し(もちろん、ArduinoIDEのポート指定はずらしておきます)、バイナリ指定をしてファイル送信を実行します。
送信するファイルの先頭には保存アドレス(2バイト)、ファイルサイズ(2バイト)を付けておきます。

動作中の様子


下のFM-7の画面で分かりますように、RUN直後にArduino2560に切り替わり、処理が終了した後、6809に戻り20行のLISTを実行しています。もちろん、複数回実行してもちゃんと6809に戻ってきます。


転送後に6809に戻っている


TeraTermの実行画面です。
データファイルの先頭4文字の保存アドレス、転送バイト数を読み取り、以降のデータを指定アドレスに書き込み、その後、そのデータを読み出しています。
続いてBOOT ROMの内容を読み出した後、6809に戻っています。


転送結果


以上、動作的には以前の割り込みを使用しないソフトでのリフレッシュ法の場合とそれほど違ってはいないように見えますが、不完全かもしれませんが正式のリフレッシュ法を用いているという安心感が得られました。

なお、割り込みによるリフレッシュ法の詳細とその適用結果については、FS-Micro Corporationの桜井さまがブログのArticle#256~265の10回に亘って詳細に解説されていますので、そちらをご参照ください。本稿に直接関係するのはArticle#261です。