2025年3月22日土曜日

FM-7/8用のFDドライブ用接続アダプタを作ってみました

FM-7/8用のFDドライブ用接続アダプタMB22603相当品を作ってみました

先日、某オークションでLogitecのLFD-550-FMというFM用FDドライブ装置に内蔵されているコントロール基板を入手しましたので、これを使用するために富士通のMB22603の回路を調べて同様なものを製作してみたという報告です。

製作した2種のアダプタがこれです。

左:FM-7の32Pスロット用、右:FM-7/8の50Pコネクタ用

左がFM-7の32Pスロット用、右がFM-7/8の50P拡張コネクタ用です。

入手したコントロール基板LFD-550-FMです。最初に入手したものは不動品だったので、結局2枚入手してしまいました。

左:不動品、右:動作品


経過

私自身はFM-7用に自作のFDCカードを製作して、それにPC用のドライブやGOTEKなどを接続して使用しておりますので、特に必要はなかったのでしたが、興味本位で落札してみたのが運の尽きで、かなりの時間を費やすことになってしまいました。。。

このコントロール基板に手持ちの5インチ2Dドライブを接続して動かしてみようと考えましたが、動作させるためにはFM-7とコントロール基板の間をつなぐアダプタが必要です。オークションに時々出品されるようですが結構高額です。ということで、自作できないかと考えました。

自作の手掛かりになったのは、はせりん様のブログ「Retro PC Gallery (http://haserin09.la.coocan.jp/)」中の「緊急特集:MB22603の秘密」という記事です。

はせりん様はIRQ関係の調査とアダプタの対象機器の制限の原因追及をされているのですが、そのために回路の一部を解析されていましたので、それを元にさせていただいて何とか回路をでっち上げ、プリント基板を発注して製作してみましたが、もちろん動作しませんでした。しかしこれだけではでっち上げのアダプタがダメなのか、それともコントロール基板がダメなのかが分かりません。

そんな時、知人がMB22603などのアダプタを3台も所有されていることを知りましたので、それらをお借りして不動の原因を追究することにしました。

まず入手したコントロール基板が正常に動作するかを確かめるために、お借りしたMB22603を使用してみましたが、残念ながら動作しませんでしたので、不動の原因はコントロール基板にあることが確認できました。

そんな時に、某オークションで再び同じ基板が出品されていましたので、再度入手してみましたら、これはMB22603など3種のアダプタのいずれでも正常に動作しました。

アダプタの製作

コントロール基板が正常に動作することが確認できましたので、あとはアダプタを製作すれば良いということで、お借りしているMB22603の基板の配線を調べてみました。

このアダプタではディレイラインを使用しているのですが、それははせりん様によりますと、FDC(フロッピィディスクコントローラ)としてMB8876やMB8877が使われている外付けドライブ装置に対応するためだそうです。入手した基板ではMB8876Aが使われているので、ディレイは必要がないので省略できるだろうと考えました。実際に回路を追ってみると、ジャンパ線でディレイラインをバイパスしているように見えました。

ということで、ディレイを省略した回路を仕上げてプリント基板を発注し、届いた基板を組み上げてみました。ところが、FM-7にセットしてみましたがまたも動作しません。

回路を見直してみましたが間違っているところはなさそうです。困ってしまって、お借りしているMB22603の基板を再度眺めていたところ、50P拡張コネクタのEXTDET(22ピン)がGNDに落とされているのを見つけました。今まで色々な基板を製作してきましたが、EXTDETは無接続で動作していましたので、多分関係はないだろうとは思いましたが、念のためにGNDに落としてみました。

結果ですが、何と動作するようになりました。ということで、32Pスロット用の方も同様にEXTDETをGNDに接続しました。

製作した回路


製作した回路を示します。EXTDETの修正後のものです。

FM-7/8 50P拡張コネクタ用


FM-7 32Pスロット用


正常に動作しています

動作している様子を示します。これは32Pスロット版の場合です。左下の5インチドライブのアクセスランプが点灯しているのが見えます。

コントロール基板がMB8876Aを使用しているからでしょうか、ディレイラインを使用していない回路ですが、FM-7本体のクロックを落とさなくても2MHzで動作しています。


32Pスロット版を使用中

以上、たまたま入手してみたコントロール基板を動作させるためにMB22603相当のアダプタを作ってみたという報告でした。(特に使う予定もないのに作ってしまった...)

回路の内容が良く分かっていない私が何とか回路を作成できたのは、貴重な情報を公開してくださっているはせりん様と、MB22603などを貸してくださった知人(Y.A.様)のお陰です。お二人に感謝いたします。


余分な基板がありますので


もしFM-7やFM-8用の外付けFDドライブを持っているがアダプタが無いので使用できないと困っていて、ご自分でアダプタを製作してみたいという方がおられましたら、余分の基板が数枚ありますので、ご希望の方は50P用か32P用かを明記してメールでご連絡ください。郵送料のみでお送りできます。
(部品はほとんどが普通に入手できますので50Pコネクタ用は基板のみですが、32Pスロット用に必要な富士通製のコネクタだけはまず入手できませんので、知人に頂いた取り外し品になりますが32Pコネクタもお付けします。ですので、50Pの方は定形郵便110円、32Pの方はクリックポストで185円となります。)

蛇足ですが、以前無料で(郵送料も当方負担で)基板をお送りした方の中で、到着の連絡を頂けなくて、もしかしたら郵便事故かとやきもきしたことがありました。結局、連絡は頂けなかったのですが、そのような”常識のない”方にはお送りできませんので、その点を承知おきください。(本当はこんなことは書きたくないのですが、2度ほどありましたので...)

2025年3月10日月曜日

FM-7/77用仮想ドライブ構築ソフトのFT245高速カード対応版

FM-7/77用仮想ドライブ構築ソフトをFT245高速カード対応させました

===昨年から取り組んでいるいくつかのハードやソフトの作成がいずれもうまく行っていない状態なので、気分転換を兼ねて表題のことに取り組んでみました===

以前からFM-7やFM77AV40SXを使用する際にはWindows機上で仮想ドライブを構築して使用してきましたが、その際にはシリアル通信(RS232C)を使用していました。(CP/M版のみFT245カードを使用)

それについてはその都度公開してきました。

・「拡張ROM/RAMディスクボードと仮想ドライブ用のF-BASICドライバ」(2022年5月18日)

・「F-BASIC用のWindows版仮想ドライブ構築ソフトの改良」(2022年2月12日)

・「FM-7/77用の改良版I/O拡張基板用のF-BASICドライバを作成」(2021年7月8日)

・「FM-7用 60K CP/M-80 の仮想ドライブ版が完成」(2021年2月23日)

・「CP/M用の仮想ドライブの構築ソフト(その2)」(2020年5月2日)

・「CP/M用の仮想ドライブの構築ソフト」(2020年4月29日)

・「FM-7/77のF-BASIC用の仮想ドライブ構築ソフトが完成」(2019年9月25日)

・「FM77用の拡張I/Oボード、ROM/RAMディスクボードのプリント基板化が完了」(2019年8月26日)

・「FM77用の拡張IOボード、ROM/RAMディスクボード」(2019年6月12日)


しかし、現在はRS232C通信を使用することはほとんどなく、もっぱら「思いつきハードでソフトに七転八倒(https://vehwk3yxv7hw.blog.fc2.com/blog-category-2.html)」の秋田修二さんが作成されたFT245高速通信カードを使用させていただいています。

ということで、ここで全ての仮想ドライブ構築ソフトをFT245カード対応に切り替えることにしました。(もちろん、従来通りRS232Cも使えます。)

今回作成したのは以下のものです。

動作確認した機器:FM-7、FM77AV2、FM77AV40SX
対応DOS:F-Basic、Flex9

使用したFT245カードは画像のものです。

使用したFT245カード

これはVer2でTXE端子の制御機能が追加されており、スイッチで有効・無効を切り替えることができるものですが、この機能がないVer1でも同様に使用できます。


全体の構成図

詳解するソフトの機能を大まかな図で示します


機能の説明

図に示しましたように、Windows側では使用するDOSに合わせて仮想ディスク構築ソフト(FbasDrvWin.exe, FlexDrvWin.exe, Os9DrvWin.exe, CpmDrvWin.exe)のいずれかを実行します。使用する通信カードや通信ポートはiniファイルで指定したものが選択されますが、起動後に変更できます。

FM側のドライバですが、Flex9ではWINDRVの起動時のオプションでFT245カードとRS232Cカードに対応させていますが、F-Basicでは裏RAMに常駐させていてその常駐部を少なくするために、FT245カード用のWINDRV(もちろんFlex9用とは別ソフトです)とRS232C用のWINDRVX7という別々のソフトになっていますので、使用する通信カードに合わせて選択します。FM-7やFM77AV2用のオプションRS232Cカードは38400baudまで動作しますが、FM77AV40SXなどに内蔵されているRS232Cは19200baudまでです。


動作している様子

F-Basic (Ver3.0)の場合です。
FM77AV2でFT245カードを使用しています。

FbasDrvWin.exeの場合

Flex9の場合です。
FM77AV40SXの内蔵RS232Cを使用しています。

Flex9DrvWin.exeの場合

この画像中のDrive2や3のボックスにディスクイメージファイルをdrag&dropするとその内容が左下のリストボックス中に表示され、読み出し、書き込み、削除、名称変更ができますので、Windows機中のファイルをイメージファイルに書き込んだり、読み出したりできて、そのままFM機で扱えます。
右のボックス中のRで始まっているリストがFMのfilesコマンド(F-Basic)やCATコマンド(Flex9)でドライブ2と3を連続して読んだ時の様子で、仮想ドライブのリードしているドライブ、トラック、セクタを表しています。もちろんFM側ではそれぞれのドライブのファイル一覧が表示されています。

Windows側のFbasDrvWin.exeは以前から公開しているものですが、使用しているうちに必要になった機能として、有効なポートを検出する「ポートスキャン」、ポートの種類を選択する「Port Select」ボタンを追加した最新のVer1.53です。またFlex用も同様に機能追加してあり、FlexDrvWin.exeはVer1.73です。


FM機とWindows機との間のファイル交換の手段として

このファイル交換の手段としては、従来からRS232Cによるものがありますが、使いやすさや速度面での問題がありました。それを改善するものとしてFT245カードを使用する方法があり、ディスクイメージファイル全体の転送や単一ファイルの転送用のソフトを作成してきました。速度的には大幅に改善されたとはいえ、それでも、毎回転送ソフトを起動してファイル操作を行う必要がありました。

今回、仮想ドライブ構築ソフトをFT245カードに対応させたことで、普通にディスクを読み書きする操作の延長でそのままWindows上のファイルを処理することができるようになりました。
もちろん、FT245カードがない場合でもその代わりにRS232Cを使うことで、全く同様な操作ができます。

今回はとりあえずですが、F-Basic V3.0用とFlex9用の2種のみ公開します。ただしF-Basic用はVer3.0のみに対応しており、また、Flex9用ですが私は8インチのGeneral版から移植したものを使用していますので、もしかしたら富士通製のFlex9には使えないかもしれません。

動作に必要なソフト一式をOneDriveに公開しますので、使用した結果に対して私は責任を負わないことを了解していただいたうえで自由にご利用ください。