2021年12月11日土曜日

FM77AVにUSBキーボードを接続する試み(その2)


とりあえずFM77AVにUSBキーボードを接続できました

前回の報告はUSBキーボードのコードは読めたがFM77AVに送れないという段階まででした。

その後結局ATtiny85では無理だろうと判断して、USB機能を持っているAtmelのチップに変更することにしました。AtmelのチップにこだわるのはPS/2キーボード用に制作した変換プログラムを使用したかったからですが、手持ちのチップにはあまり適当なものがなく、20ピンのATmega88とATmega168ぐらいしかありませんでしたので、とりあえず、RAM容量の大きなATmega168を使うことにしました。

試作した回路を示します。右がPIC24FJ64GB002のキーボードインターフェース部、左がATmega168のコード変換部です。


左:ATmega168基板、右:PIC24FJ64GB002基板


全体の構成は図のようです。


プログラムの構成

[1]PIC24FJ64GB002側

ソフトは前回同様 MicrochipのMLA(Microchip Libraries for Applications  v2018-11-26版)中のusb frameworkを用いましたが、前回とは異なり、app_host_hid_keyboard.cの一部を書き換えることで、アスキーコードではなくUSB標準のキースキャンコードを得て、それをそのままUART(38400baud)でATmega168に送れるようにしました。

通常のキーは1バイトのキースキャンコードで、SHIFTキーやCTRLキーなどは2バイトのキースキャンコードとして送っています。

このために App_ProcessInputReport()関数の一部を下のように変更しました。

   

 

[2]ATmega168側

おおまかにはATtiny85でのPS/2キーボード用のプログラムのうちのキーボードのスキャンコードを得る箇所をUSBからの受信データに置き換えれば良いのですが、実際にはPS/2キーボードとUSBキーボードでは制御キーの扱いが異なっているので、その部分は書き換える必要がありました。

具体的には、SHIFTキーを押したときの処理はかなり書き換える必要がありました。

例えば、単純に’1’キーだけを押した場合に得られるコードは

0x1E,0x00 (押した時 0x1E、離した時 0x00)の2バイトなのですが、

SHIFTキーを押しながら’1’キーを押した場合に得られるコードは

0xE1,0x00,0xE1,0x1E,0xE1,0x00,0x00の7バイトになります。その内訳は、

SHIFTキーを押すと 0xE1,0x00

さらに’1’キーを押すと 0xE1,0x1E

続いて’1’キーを離すと 0xE1,0x00

SHIFTキーを離すと 0x00

となっています。

(注)上記の 0x00が余分なように思えますし、PICのプログラムを書き換えれば送られてこないようにできますが、これにはリリースコードの役割がありますので、なしにするとキーを離したことが検出できなくなります。

これを適切に処理しなければならないわけですが、その部分を下に示します。

   
 

これ以外の部分は、以前公開してありますPS/2キーボード用変換器とほとんど同じで、キーコードスキャン部をUARTからの入力に置き換えただけで、キーコード変換部は全く変更がありません。

以上により、試作した回路が間に合わせですし、プログラムもさらなる検討が必要な部分もありますが、とりあえず使えそうな段階まで達したと思います。

しかし、USBホストとしてPIC、そしてコード変換にAtmelと2つもマイコンを使うのはいかにもスマートではありません。何とかPICのみで済ませたいと思っていますが、それは次の課題ということにして、とりあえず一つの基板にまとめた回路を作るつもりです。


<余分な愚痴>

今回のプログラム作成ではPICとAtmelの2種を使いましたので、ライターとしてPICにはPICKIT3を、AtmelにはTL866ⅡPLUSを用いました。PICKIT3はPICを基板に装着したままで書き込めるので便利なのですが、残念ながらAtmelには対応していません。

PICKIT4ならAtmelに対応しているそうですが最近は入手しにくくなっているようです。秋月電子は安いのですが入荷未定ですし、他店も高価なうえに納期が良く分かりません。ということでMicrochip.comの直販で購入することにしたのですが、即納のように書いてあったのに、注文後に何と納期が90日と言われてしまいました。がっかりしていたら、またメールが来て早くなりそうなので一安心しましたが、同時に購入しようとしたATtinyの2シリーズのチップなどは納期が来年の5月と言われて諦めました。

また、先日Y電機で注文したスキャナは納期が来年の3月だそうで、古いスキャナをもう処分してしまったので、結構不自由しています。

コロナの影響なのか半導体不足の影響なのか分かりませんが、一個人にも影響する事態になっていることを改めて思い知らされました。


【12月13日追記】

納期が遅れるというメールを受け取ったのでつい愚痴ってしまいましたが、実際には遅れることもなくPICKIT4とSNAPはアメリカから12日に、ATtiny804はタイから13日に到着しました。日本で購入するよりも安かったですし(送料は無料、VATのみ)、納期も遅くなかったので良かったです。Microchip.comの直販での購入は久しぶりでしたが個人相手でも丁寧な対応で好感が持てます。ということで、上記の愚痴は取り消します。(スキャナの方は相変わらず納期未定です...)

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