秋月電子のFT245モジュールでなくFT245RLチップを使ってみました
一時期ですが秋月電子でFT245モジュールが欠品だったこともあり、また、モジュールを使わなければもっとコンパクトになるのではないかと思って、モジュールではなくチップを使ったカードを試作してみました。
モジュールをチップに置き換えるだけならわざわざ基板を起こす必要はないのですが、
(1)今までDIPのICのみを使用してきたが、表面実装部品を使ってみたい。
(2)PCとの接続ケーブルでmini-USBコネクタではなくmicro-USBコネクタを使いたい。
(3)回路を変更する実験をしてみたい。
のような意図もありました。
(1)ですが、最近はDIPのICよりも表面実装部品を使う方が作りやすい傾向もありますので、ここらで表面実装部品に慣れておきたいということです。
(2)ですが、最近はmicro-USBコネクタの方が普通になっているように感じています。
(3)ですが、FM-7からWindowsPCへの通信時に、WindowsPCの準備ができていない時でもFM-7がデータを送り出してしまうので、これを何とかしたいという事でFT245RLのTXEをフラグとしてチェックする形式に変更することを考えました。
表面実装部品を使うのは初めてなのでネットで情報を集めてみると、アマチュア的にはヒートガンかホットプレートを使用するのが普通のようですが、先日、基板から部品を外すためにPOT-21Cという小型ハンダ槽を購入したので、これを使えばホットプレートの代わりになるのではないかと考えて試してみることにしました。
これが入手した小型ハンダ槽です。温度は500℃まで上げることができます。小さな部品はもちろん、40Pコネクタ程度の大きさのものなら、数秒であっさりと基板から外すことができます。
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小型ハンダ槽 |
ハンダ
このハンダ槽の上に5mm厚のアルミ板を載せて、ホットプレートの代わりにするというわけです。まずは左下のmini-USBコネクタと小さなフェライトインダクタ(FB)をクリームハンダを使用してハンダ付けができるかどうかを試してみました。
温度を400℃に設定し、クリームハンダを塗った上に部品を載せた基板を置いてみました。
結果ですが、1608サイズのFBは綺麗にハンダ付けされていました。しかし、USBコネクタはFBよりも熱容量が大きいせいか仕上がりが不十分だったので、後で半田ごてで補修しました。
次にメインであるFT245RLのハンダ付けに挑戦しました。温度を350℃に下げて、クリームハンダを塗ってICを載せて置いてみました。
結果ですが、うまくハンダ付けはできませんでした。350℃に下げたのが原因だったようですが、400℃に上げる勇気はなかったので普通にはんだごてですることにしました。
ホットプレートを使用する場合は蓋をするので、カップのようなものをかぶせるとうまく行くのではないかと思っています。次回挑戦する際には蓋を用意してやってみます。
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FT245RLをハンダ付け |
できあがったのが下の基板です。
追加のリード線が見苦しいですが、これは何とFT245RLのGNDを結線し忘れていたためです...(相変わらずドジばかり...)
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完成した基板 |
とりあえず、ICの細い足に何とかリード線をハンダ付けして動作させることができました。
(SSOPですので0.65mm間隔の足にハンダ付けするのは大変でした...)
以上は元のFT245モジュールを使用した回路をそのままFT245RLに置き換えただけなので、ポリヒューズなどの余計な部品が載っていますが、電源をFM-7から取るようにすれば部品をいくつか省略できます。
次に回路の変更ですが、74LS244の15ピンに接続されているFT_DB6をカットして、代わりにFT245RLの22ピンのTXEを接続するだけです。
つまり、データのbit7がRXFであるのに加えてbit6をTXEにして、ソフトで読めるようにするわけです。
実は、もう既に既存のカードを改造し、それに対応してソフトも変更してありました。そのカードが下の画像のものです。LS244の15ピンを抜いてTXEに接続してあります。
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DB6をTXEに変更したカード |
ソフトの変更ですが、FM-7が受信する場合にはbit7(RXF)をチェックしてLowになったらデータを受信しているのと同様に、送信する場合にはbit6(TXE)をチェックしてLowになったらデータを送信するように変更することになります。
改造の結果
(1)表面実装部品を使ったおかげで、基板にかなり余裕ができましたので、上手く設計すれば他の回路も同居させることもできそうです。
(2)USBコネクタもmini-USBとmicro-USBの両方を搭載しても余裕です。
(3)FM-7からの送信時にもフラグをチェックするように変更してみたわけですが、実際にはそれ程のメリットは感じられませんでした。むしろ、何かの原因で通信経路の不調が生じた場合にハングアップ状態になってしまうのはデメリットかもしれません。
ということで、次回製作予定のプリント基板は下図のように切り替えスイッチを付けてどちらのモードでも使えるようにしようと思っています。
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次回製作予定の基板 |
今回、初めて表面実装部品を使用してみましたが、フェライトビーズは問題なくハンダ付けができたので、同様な形であるRやCなどもこのような方法でできそうです。あとはもう少し試行錯誤しながらICなどの部品もハンダ付けできるような条件を見出したいと思います。